高等学校では2022年度入学の高校1年生から順次「新学習指導要領」に沿った授業が実施されます。どんな学びが始まるのか?変更のポイントをまとめましたので、個個塾グループの生徒の皆さんはもちろん、保護者の方もぜひお読みください。
<目次> 1.学習指導要領って何?いつから何が変わる? 2.教科・科目の主な変更点 2-1.英語 2-2.数学 2-3.国語 2-4.社会 2-5.情報 3.まとめ
1.学習指導要領って何?いつから何が変わる?
学習指導要領とは
「学習指導要領」とは、文部科学省が各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準としているものです。全国どの地域で教育を受けても一定の水準で教育を受けられるようにするため定められたこの基準をもとに、幼稚園から高等学校まで、全国の学校が授業を行っています。また社会や時代変化に対応するため、約10年ごとに見直し・改訂されています。
新学習指導要領はいつからスタート?
小学校では2020年、中学校では2021年4月から新学習指導要領に基づいた授業が実施されました(2年間の移行期間を経て実施。)そして、新学習指導要領での学びを終える現中学3年生が進学する2022年度から、高校でも新しいカリキュラム(新課程)がスタートします。
※注意※小学校、中学校で行われた改訂と異なり、高校の改訂は一斉実施ではなく順次改訂です。新課程の対象となるのは2022年度入学の高校1年生からですので、2022年度に高校2年生・3年生になる人は、旧課程のカリキュラムのままで授業が実施されます。
新学習指導要領では何が変わるの?
高等学校の新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、各教科・科目で「何ができるようになるか(どのような資質・能力を育成するか)」を3つの柱をもとに再整理し、目標として記載されています。
<3つの柱> 1.知識及び技能 2.思考力、判断力、表現力等 3.学びに向かう力、人間性等
▶「現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成する」ことを基本の考え方として据えています。
2.教科・科目の主な変更点
代表的な教科・科目の変更ポイントをご紹介します。
※必履修科目:必ず高校の授業で学ばなければならない必修科目のことを指します。(それ以外の科目は、高校によっては授業として設定されていない場合があったり、選択科目として生徒個人の希望で選択することができたり、高校によって様々です。)
2-1.英語
英語のポイント
(1)科目の変更
高校1年生でいくと、現行の必履修「コミュニケーション英語Ⅰ」が、「英語コミュニケーションⅠ」に変更になります。
高校英語全体の「科目」としては、「コミュニケーション英語」が「英語コミュニケーション」に、「英語表現」が「論理・表現」に、そして「コミュニケーション英語基礎」と「英語会話」が無くなります。
全体として、『発信力』を強化していく内容変更になっています。
(2)4技能から4技能5領域へ
現行の「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能に見直しが入り、
新課程では、小・中・高等学校で一貫して「聞く」・「読む」・「話す(やり取り)」・「話す(発表)」・「書く」の4技能5領域を総合的に養う
とされています。
「話す」というアウトプットの部分が細分化され、強化される形に改められました。
『英語コミュニケーション』では4技能5領域を総合的に学習し、目的・場面・状況などに応じて適切に活用できる英語技能を養うことを目指し、
『論理・表現』では、「話す(やり取り)」「話す(発表)」「書く」を中心とした発信力の強化を目標とし、スピーチ・プレゼンテーション、ディスカッション・ディベートなどを中心とするアウトプット型の言語活動を中心とする科目として位置づけられています。
▶理解したことや自分の考えを英語を使って「自分で表現する力」が、これまで以上に求められる内容になっていますね。
(3)語彙数の増加
現行の「コミュニケーション英語」で習得する語彙数は1800語とされていますが、新課程では最大2500語まで増えます。
ちなみに、2020年の小学校英語教科化以降、小学校は600~700語程度、中学校ではさらに1600~1800語の新語が加えられているので、高校卒業時点で4000~5000語の語彙を習得する目標になっています。(旧課程では中・高で3000語程度)
▶外国語(言語)習得には、とにかく「語彙力」が重要であることは変わりません。普段の学習を通して語彙力をさらに強化していく必要があります。
2-2.数学
数学のポイント
(1)科目の変更
科目としては「数学活用」が無くなり、「数学C」が新設されます。2回前(約20年前)の改訂時には「数学C」がありましたので、科目名として「数学C」が戻ってきた形になります。
ただし、この新課程の「数学C」は、現行過程の「数学B」から移行された「ベクトル」、「数学III」から移行された「平面上の曲線と複素数平面」等から構成される科目のため、以前の「数学C」とは内容が異なります。
(2)中学校で習った数学とつながるのは「数学Ⅰ」
中学校の数学では3年間を通して「数と式」「関数」「図形」「データの活用」の4分野を学んできました。高校1年生で学ぶ「数学Ⅰ」の4つの単元が、中学数学の4分野にそれぞれ対応するようになっています。
▶中学数学でつまずきがある分野は、しっかり復習をしておく必要があります。高校数学(特に「数学Ⅰ」)は、中学校での学びを土台に理解を深めていきます。
2-3.国語
国語のポイント
(1)科目の再編
必履修科目が「国語総合」から「現代の国語」「言語文化」に分けられました。「現代の国語」は現代文、「言語文化」は古典を主に扱うようです。
また、選択科目の「国語表現」「現代文A」「現代文B」「古典A」「古典B」が、新課程では「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」に編成されます。
(2)入試で扱われる「現代文」「古典」は、新しい選択科目のどれにあてはまる?
「現代文A」「現代文B」が、実社会に特化した「論理国語」と言語文化に特化した「文学国語」に。
「古典A」「古典B」が、「古典探究」にまとめられたようです。
2-4.社会
社会のポイント
(1)地理歴史科の必履修科目新設
これまでの地理・歴史では、
・「世界史A」「世界史B」から1科目選択
・「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」から1科目選択
合計2科目を必履修としていましたが、
新課程では『A/B』という構成が廃止になり、
「地理総合」「歴史総合」が新設・必履修科目になりました。
★地理総合:新たに領土や国際協力、防災を学習
★歴史総合:日本と世界の近現代史を学習
▶これまでは「地理」または「日本史」を選択しない人もいましたが、新課程では全員「地理」も「歴史(日本史・世界史どちらも)」も学ぶことになります。
(2)公民科で「公共」の新設
これまでの公民では「現代社会」または「倫理」・「政治経済」を必履修として設定されていましたが、
新課程では、「現代社会」がなくなり、新たに「公共」が新設、必履修科目になりました。
★公共:選挙年齢が18歳以上に引き下げられ、2022年には成年年齢が18歳となる等の背景から、政治参加・選挙・労働問題・消費者教育・SDGsなどを学習します。
2-5.情報
情報のポイント
これまで、「情報」という科目にそれほど注目していなかったと思いますが、大きな改訂が行われたので必読です!
●必履修「情報Ⅰ」で「プログラミング」を扱います
すでに先行して施行されている小中学校での学習指導要領では「プログラミング」が必修となっていますが、高校でもプログラミングを扱うようになります。
これまでは、情報が世の中に与える影響について考える「社会と情報」、プログラミングを学ぶ「情報の科学」のどちらか1つを選択することになっていて、実際には8割が「社会と情報」を履修していました。
しかし新課程では、これまでの2科目を1つにして「情報Ⅰ」として必修化となります。つまり、高校でも「プログラミング」を全員扱うことになります。
▶この改訂により、2025年度大学入試から「情報」が大学入学共通テストの科目に追加されます。2025年度の大学入試は、2022年度に入学した高校1年生が対象となる入試です。
大学入試センターにサンプル問題が掲載されているので、一度チェックしてみましょう↓
3.新学習指導要領のまとめ
いかがでしたか?様々な改訂があってややこしいですね(^_^;)
最後にざっくり簡単にまとめておきます!
英語
1.習得する語彙数(単語数)が小学校から高校までで4000~5000語に増加!(旧課程は中高で3000語程度)
2.英語4技能の1つ「話す」が、「話す(やり取り)」「話す(発表)」に細分化され、4技能5領域を強化する内容に変更。発信力を重要視。
数学
1.数学Ⅲ・数学B・数学活用の一部を移行して「数学C」が新設
国語
1.「国語総合」が「現代の国語」「言語文化」に再編
2.「国語表現」「現代文A」「現代文B」「古典A」「古典B」が、「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」に編成
社会
1.地歴科の必履修科目に「地理総合」「歴史総合」が新設
2.公民科の必履修科目に「公共」が新設
情報
1.「情報Ⅰ」が必履修科目として新設、プログラミングを扱う
2.2025年度大学入試の科目に「情報」が追加
どんな変化があっても日々の学習が大事!
上記の通り、2022年度から高校の学習内容は大きく改革されます。
それでも、結局大切なのは、日々の学校の授業と家庭学習です。
学び残しがないように、中学校以上に「予習」「復習」が大切になってきます。
個個塾グループでは高校1年生から学校の授業と家庭(塾を含む)学習と、部活動などの両立をはかるため、一人ひとりサポートしていきます。
高校受験だけでなく、大学受験でも学校成績を取れていると、進路の選択肢がぐんと広がります。
学校の定期テスト、大学受験等で不安なことがある方は、お気軽に教室までご相談ください(^^)/
\ 受験の不安も個個塾へ相談♪ /
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